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KTTK111のオフ活動のお知らせや短編置場、時々雑談。
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「カレンダー」「ストロー」「しるし」


赤い油性ペンで昨日に×のしるしを付ける。
赤い×で半分埋まったカレンダーを見ながら、しるしのないマスを数える。
あと10日。
こうして、その日を待ちわびていることを知ったらどんな表情をするだろうか。
呆れる。
バカにする。
笑う。
どれもこれも脳内で映像化されて、少し、へこんだ。
喜ぶことは、きっとない。
子供みたいに、その日を楽しみにしているだなんて、我ながらバカだと思ってる。
親バカみたいな、なんて、言えばいい?
月島バカ?
可笑しくて一人、笑った。
それこそが、道化であり、傍から見ればどんなにか滑稽に映るだろう。
紙パックの牛乳にストローを刺して、もう一度赤いしるしで半分染まったカレンダーを見た。
会いたいと、月島に言ったことはない。
それが、非現実的だからだ。
相手を追い詰める言葉を選びたくなかった。
『だからといって、キスしたい、抱き締めたい、触れたいって繰り返されたら、会いたいと同じデショ』と、溜息を吐かれた。
なんだ。
ちゃんと伝わってるじゃないか。
素っ気無い態度に、返事に、口調に、隠れているものを知りたかった。
「じゃあ、どれが嬉しい?」
なんて、言われたい?
だって、どれもこれも、すぐには叶わない。
電話の声は耳元にあるというのに。
数秒の沈黙。
いつものように、わかりやすい溜息がない。
言葉を失うほどの質問だったかと、気にし始めた時。
その声は、静かに響いた。
『……、黒尾さんがそう思っていることが嬉しいです』
容赦なく切断された電話はその日、二度と繋がらなかった。
(なあ、そんなことを言われたら、会って、抱き締めて、キスをして、触れて、酷いことも優しいこともしたくなっちまうだろ)
カレンダーのしるしが増えるたびに募る思いは、じりじりと足元から這い上がってくるようだった。
嵐のように渦巻く感情に耐えるようにストローを噛み締めて、牛乳を飲み干した。
「早く会いたい」
ぽつりと、禁忌を破るような気持ちで、呟いた。


終わり

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初出 2014-07-30 20:49:07 privatter
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