KTTK111のオフ活動のお知らせや短編置場、時々雑談。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「衝動」「茫然/呆然」「地面」
掴まれた手首が熱い。
指先が、手のひらが、体温以上に熱を持っているような気がした。
そんなことは、ありえないと言うのに。
触れた唇は思いのほか冷たくて、慣れていないからか、重なっただけで終わった。
目を閉じることなどできなかった。
瞬きを忘れるくらい間近になったその目を見ていた。
ただ、呆然としていた。
黒い瞳の中に目を見開いた自分の姿が映る。
「……か、らかって、いるんですか?」
熱と目とそれから沈黙に耐え切れなくて、先に言葉を発した。
熱い。
手首も頬も首筋も耳も、全て。
ぐらぐらと煮立っていくようで、地面が揺れているように思えた。
殴りたい衝動は手首を掴まれていることによって阻止され、見据えられた黒曜石に捕らわれて、目を逸らすことすら許されない。
「まさか」
口の端を歪め、それから、一言で否定する。
逃げられないと、警鐘が鳴り響く。
「怖い?」
逆に問われれば、怖くないと答える。
怖くは無い。
嘘じゃなかった。
ただ、熱い。
理由もわからない。
触れた唇の感触は覚えていなかった。
ただ、冷たい。
それだけが残っていた。
その衝動に耐え切れず、呆然とした意識が踏みしめた地面は、まるで頼りなかった。
もう一度、唇を塞がれた。
啄ばむように何度も繰り返される。
閉じられた目を見つめれば、睫毛が揺れた。
「目、閉じろよ」
見ていることに気付いた黒尾が勝手なことを言う。
「嫌です」
断れば、ふ、と笑われる。
「お前の目に映る俺は嫌いじゃないけどな」
これ以上近づけないくらいの距離で。
見つめ合ったお互いの目の中にいる自分は、本当に自分なのだろうか。
「僕は嫌いです」
「素直」
楽しそうに笑いながら、鼻先に頬に唇を落として、再び触れた唇は、少しだけ熱をもっていた。
終わり
掴まれた手首が熱い。
指先が、手のひらが、体温以上に熱を持っているような気がした。
そんなことは、ありえないと言うのに。
触れた唇は思いのほか冷たくて、慣れていないからか、重なっただけで終わった。
目を閉じることなどできなかった。
瞬きを忘れるくらい間近になったその目を見ていた。
ただ、呆然としていた。
黒い瞳の中に目を見開いた自分の姿が映る。
「……か、らかって、いるんですか?」
熱と目とそれから沈黙に耐え切れなくて、先に言葉を発した。
熱い。
手首も頬も首筋も耳も、全て。
ぐらぐらと煮立っていくようで、地面が揺れているように思えた。
殴りたい衝動は手首を掴まれていることによって阻止され、見据えられた黒曜石に捕らわれて、目を逸らすことすら許されない。
「まさか」
口の端を歪め、それから、一言で否定する。
逃げられないと、警鐘が鳴り響く。
「怖い?」
逆に問われれば、怖くないと答える。
怖くは無い。
嘘じゃなかった。
ただ、熱い。
理由もわからない。
触れた唇の感触は覚えていなかった。
ただ、冷たい。
それだけが残っていた。
その衝動に耐え切れず、呆然とした意識が踏みしめた地面は、まるで頼りなかった。
もう一度、唇を塞がれた。
啄ばむように何度も繰り返される。
閉じられた目を見つめれば、睫毛が揺れた。
「目、閉じろよ」
見ていることに気付いた黒尾が勝手なことを言う。
「嫌です」
断れば、ふ、と笑われる。
「お前の目に映る俺は嫌いじゃないけどな」
これ以上近づけないくらいの距離で。
見つめ合ったお互いの目の中にいる自分は、本当に自分なのだろうか。
「僕は嫌いです」
「素直」
楽しそうに笑いながら、鼻先に頬に唇を落として、再び触れた唇は、少しだけ熱をもっていた。
終わり
初出 2014-07-18 00:28:39 privatter
PR
この記事にコメントする
カレンダー
カテゴリー
プロフィール
HN:
香月珈異
性別:
女性
最新記事
(01/11)
(12/31)
(12/31)
(01/12)
(01/08)
(12/31)
(12/30)
(03/20)
(01/06)
(12/31)
(12/25)
(06/25)
(06/25)
(01/03)
(12/31)
ブログ内検索
忍者カウンター