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KTTK111のオフ活動のお知らせや短編置場、時々雑談。
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「さよなら」「星」「テレビ」


雑音が響く中で、ソファに押し倒されながらキスをされる。
甘く優しい重さが触れ合う指先を握った。
キスをされると、時々思い出す。
夜中に抜け出した校舎の屋上で、見上げた空に星が瞬いていた。
目を閉じれば、その星空が暗闇に浮かんで消えていく。
「さよなら」
つけっぱなしのテレビから聞こえた台詞が途切れた。
別れ話かただの挨拶か。
その言葉は好きじゃなかった。
二度と会えなくなるようで、怖かった。
それを知ってか、知らずか、今夢中で口内を貪るように求めてくる人は、一度も言ったことがない。
どんなに記憶を辿っても聞いた覚えはなかった。
いつも。
電話でも改札でもメールでも。
『またな』
とだけ。
笑って、手を振る姿を覚えている。
月島が見送られても、見送っても、黒尾は毎回手を振って、笑う。
ああ、また会える。
そうして、寂しさを抱えながら安心していた。
「何、考えてんの?」
ぎゅっと抱き締められたので、その背中に両腕を回し、抱き締め返す。
「黒尾さんのことですけど?」
「そうじゃなかったらどうしようかと思った」
耳元で笑う声。
自分よりも熱く感じる体温に、微睡む。
「黒尾さん」
真夏の夜空を覚えてますか。
満天の星の下、交わしたキスを覚えてますか。
「夏休み、星を見にいきませんか」
テレビの向こうで聞こえるさよならは、瞬く星のように流れて消えればいい。
「いいね」
「いいんですか?」
「なんで?断る要素、どこにもなかっただろ」
こうして、優しくて意地の悪い人は、簡単に甘やかす。
「星って言うとさ、うちのさ、音駒のさ、屋上を思い出さねえ?」
八月の終わり。
まだ昼の暑さが残る熱帯夜。
静寂に包まれた校舎。
手を繋いで歩いた廊下。
「僕も今、それを思い出していました」
「だから星?」
黒尾の笑う声ばかり響く。
音を潜めて、呼吸をするような声が好きだった。
こめかみに、頬に、唇にキスをされる。
好きだと囁く声は、あの頃と同じだった。
あの日、僕らは、星の下で、「さよなら」は言わないと約束をした。



終わり

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初出 2014-07-29 21:12:49 privatter
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