KTTK111のオフ活動のお知らせや短編置場、時々雑談。
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「面倒事」「繋ぐ」「色」
それは、予兆だったのかもしれない。
雲ひとつない秋晴れの空。
色鮮やかな空色は広く高く澄み渡っていた。
携帯電話を天に向け、写真を撮った。
画面いっぱいの水色。
まるで、絵具で塗ったようだった。
メールに添付をして、送信。
今は、たった一瞬で、切り取った空の一部が遠く離れた地に届く。
便利だと言えばいいのか、不便だと言えばいいのか。
夏の暑い日。
空を見上げる余裕もなかった日々。
濃い影を落とす樹木の下で、セミの声を聞きながら、時が過ぎるのを待っていた。
会話をするのも億劫で、声を出せば体力が減るように思えた。
セミの声だけをやけに覚えている。
記憶は、面倒事まで引き起こし、脳内を巡る。
忘れていたわけではないけれど、意識をしないように意識していた。
それなのに、次々と夏のイメージが溢れてくる。
夏とは異なる秋の空。
(面倒くさい)
自分の感情が、酷く邪魔に思える。
(会いたい、会いたくない、会いたい、会いたくない……)
声が、響いて、厄介きわまりない。
空にもう一度携帯電話を向ければ、青空を真っ二つに切り裂くような、白い白い線が引かれていた。
どこへ向かう飛行機だろうか。
その線は、遠い空まで繋ぐだろうか。
しばらくして、メールの着信音が鳴った。
確認をすれば、タイトルも本文もない。
添付されているファイルを開けば、青空と飛行機雲の画像があった。
抑えきれない衝動という面倒事をもたらした空色は、遠く恋しい人と繋がっていた。
終わり
それは、予兆だったのかもしれない。
雲ひとつない秋晴れの空。
色鮮やかな空色は広く高く澄み渡っていた。
携帯電話を天に向け、写真を撮った。
画面いっぱいの水色。
まるで、絵具で塗ったようだった。
メールに添付をして、送信。
今は、たった一瞬で、切り取った空の一部が遠く離れた地に届く。
便利だと言えばいいのか、不便だと言えばいいのか。
夏の暑い日。
空を見上げる余裕もなかった日々。
濃い影を落とす樹木の下で、セミの声を聞きながら、時が過ぎるのを待っていた。
会話をするのも億劫で、声を出せば体力が減るように思えた。
セミの声だけをやけに覚えている。
記憶は、面倒事まで引き起こし、脳内を巡る。
忘れていたわけではないけれど、意識をしないように意識していた。
それなのに、次々と夏のイメージが溢れてくる。
夏とは異なる秋の空。
(面倒くさい)
自分の感情が、酷く邪魔に思える。
(会いたい、会いたくない、会いたい、会いたくない……)
声が、響いて、厄介きわまりない。
空にもう一度携帯電話を向ければ、青空を真っ二つに切り裂くような、白い白い線が引かれていた。
どこへ向かう飛行機だろうか。
その線は、遠い空まで繋ぐだろうか。
しばらくして、メールの着信音が鳴った。
確認をすれば、タイトルも本文もない。
添付されているファイルを開けば、青空と飛行機雲の画像があった。
抑えきれない衝動という面倒事をもたらした空色は、遠く恋しい人と繋がっていた。
終わり
初出 2014-09-30 19:11:27 privatter
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