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KTTK111のオフ活動のお知らせや短編置場、時々雑談。
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時々、写真が届く。
水道の蛇口。青空。欅の枝。足元の影。手のひら。
最近、黒尾からよくわからないものが、ぽつ、ぽつ、と届く。
東京と宮城。
距離は約350km。
決して、近くはない。
その距離を超えて、写真が届く。
メールアドレスを交換したのは失敗したかなと思うのは、水道の蛇口を見た時にその写真を思い出したからだ。
(ああ、侵食されている)
脳が。
じわじわと、意識させられていく。
青空を見上げて、空の色が違うと思った。
(ほら、また……)
意地でも返信をしないと決めていた。
きっとそれも狙っているのかもしれない。
相手に、なんの意図がなかったとしても、それでも、写真が届くという事実は変わらないのだ。
帰り道、生い茂る欅の木の下を通る。
風に揺れる枝がさわさわと葉擦れの音をたてた。
夜になっても暑さが続く。
額から汗が一筋、零れ落ちた。
外灯の下、足元の影がゆらりと伸びていく。
『ツッキーは細いから影も細いな』
笑う声が耳元で響いた。
(……うるさい)
ヘッドホンで遮断しようにも、その声は内側から聞こえる。
どれもこれも、きっとこの手のひらだって、全部。
脳に記憶された写真が重なった。
無骨な、けれど、鍛えられた手のひら。
身長は同じくらいだというのに、厚みが違う。
握られた熱まで思い出しそうで、自分の手のひらから目を逸らす。
もう、どこを見ても全部、それだ。
(いやだ……な)
じわり、じわりと、少しずつ、少しずつ。
知りたくない感情がやってくる。
そうして、また、携帯電話がメールの着信を伝えた。
見たくないと思いつつ、それでもポケットから取り出した。
『空、見てみろよ』
写真の添付はなかった。
ただ、それだけが、一行。
指示されるままに空を見上げてしまったことを、これほど後悔したことはない。
(ばか、しね……)
息苦しさがぎゅうぎゅうと胸を締め付ける。
震える手を隠して、その場にしゃがみこんだ。
群青色から紺色へと変わる空のその境目に、三日月。
同じ、ものを、見ていた。



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初出 2014-07-16 10:20:10 プライベッター
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