KTTK111のオフ活動のお知らせや短編置場、時々雑談。
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11月24日に新潟市産業振興センターにて開催されるガタケット136で、クロ月本を発行します~。
黒尾さんが月島くんに誕生日を祝ってもらう話です。
全体的に、甘々でいちゃいちゃでらぶらぶです。
最初から半分くらいは、えっちしかしてないので、R18です。
サンプルはPIXIVをご参照ください。
R18なので、閲覧の際はご注意ください。
新刊サンプル
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4509604
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=47094838
『You gave me everlasting love』R-18
A5 P28 オフセット印刷 表紙一色刷 300円(イベント頒布価格)
※ガタケット136は黒バスでサークル名「混合色」で参加しています。
※また、少し先になってしまいますが、1月25日のRTS!!3にも多めに持っていきますので、そちらをご利用ください☆
書店委託・通販はとらのあなとK-BOOKSにお願いしています。
割高にはなりますが、よろしければご利用ください。
とらのあな(販売終了しました)
http://www.toranoana.jp/bl/article/04/0030/25/70/040030257003.html
K-BOOKS
https://www.c-queen.net/i/2006600003
よろしくおねがいします☆
PR
つっきーのスパイク!!!
つっきーのどしゃっとブロック!!!!
このとき、ちょっとよっしゃっていう感じに見える表情してるの、たまらんですよね!!!!
つっきーのどしゃっとブロック!!!!
このとき、ちょっとよっしゃっていう感じに見える表情してるの、たまらんですよね!!!!
そして、つっきーのレシーブ!!!
やだ、やっぱりレシーブもずっと練習してたんじゃないですか!!!!!!
ああああ!!!!
たまらん。
スパイクできて、ブ ロック極めて、レシーブまでできちゃったら、つっきー、さいこーじゃないですか。
ああ、本気を出すって、100点以上を目指すってこーゆーことなんだなっ て。
みんな(というか、ひなたと田中さん)が、あの身長があったらもっとあんなことやこんなことができるのにってゆってたの、できるようになってる!
すごい!
つっきーの成長、ほんと、すごいし、かっこいいし…。
その裏にお兄ちゃんとの和解もそうだけど、やっぱり、黒尾さんがいるのだと思うと、クロ月的には 昇天するしかないんだけども…(*´Д`)♡
で、田中しゃんが「ちゅきしま!!!!!」って言っちゃったのが最大の萌えポイント。
ちゅきしま、かわいい。
かわいいよ!!!!!
ふせったーより
やだ、やっぱりレシーブもずっと練習してたんじゃないですか!!!!!!
ああああ!!!!
たまらん。
スパイクできて、ブ ロック極めて、レシーブまでできちゃったら、つっきー、さいこーじゃないですか。
ああ、本気を出すって、100点以上を目指すってこーゆーことなんだなっ て。
みんな(というか、ひなたと田中さん)が、あの身長があったらもっとあんなことやこんなことができるのにってゆってたの、できるようになってる!
すごい!
つっきーの成長、ほんと、すごいし、かっこいいし…。
その裏にお兄ちゃんとの和解もそうだけど、やっぱり、黒尾さんがいるのだと思うと、クロ月的には 昇天するしかないんだけども…(*´Д`)♡
で、田中しゃんが「ちゅきしま!!!!!」って言っちゃったのが最大の萌えポイント。
ちゅきしま、かわいい。
かわいいよ!!!!!
ふせったーより
あの日は空を見ていた。
メールが届くより先に綺麗な満月を見ていた。
同じ、空を、見ていた。
黒尾は、特に意味のない写真を撮っては月島に送っていた。
野良猫、神社の鳥居、体育館の屋根。
ふと、目に付いたものを写して、メールを送信する。
返事があればいいなとは思う程度の、ことだった。
理由を聞かれることはきっとない。
月島のことだ。
本当に知りたかったら電話をした時かもしくは次に会った時に直接聞いてくるだろう。
それが、ない。
かわりに、同じような写真が送られてくるようになった。
柴犬、狛犬、校門の影。
言葉はひとつもないというのに、まるで、会話をしているようだ。
月島の見ているものを見ることができる。
月島が、何を思って写真を送ってるのかはわからないけれど、黒尾としては半分狙い通りだった。
遠く、離れている分、知らないことしかない。
知らないことを教えたかった。
自分が今、見ているものを月島にも見て欲しかった。
一緒にいない代わりに。
最初の写真を送った理由は、それだけだった。
ただの思い付きだった。
部活の休憩中、水呑場で顔を洗った。
銀色の水道の蛇口は、どの学校にもあるものだ。
でも、今、自分の見ている蛇口は、月島の、烏野高校にはないものだ。
そう思ったら、写真を撮っていた。
ほとんど返信の来ないメールに言葉を尽くしてもきっと伝わらない。
だから、視覚に訴えてみたらどうだろう。
一枚目。
反応がないのは、予想通りだ。
少しくらい、なんだこれはと思ってくれただろうか。
呆れた顔と溜息の音を想像したらなんだかおかしかった。
天気が良かった。
青空がきれいだった。
二枚目。
暑い日差しから逃れるように駆け込んだその大木は欅だった。
三枚目。
帰り道。
足元を見たら真っ黒な影が長く伸びていた。
四枚目。
ちゃんと、届いているのだろうか。
写真だけでなく、それ以上のものが。
待てど暮らせど返信はない。
(……期待はしてなかったけどな)
頑なな人を想って笑う。
他に思いつかなかったので、手のひらを撮ってみた。
五枚目。
送った写真を見て、何を思ったのか、聞いてみたい。
聞いたところで素直に答えてくれはしないだろうけれど。
次に会える日が待ち遠しいと思ったのは、初めてだった。
帰り道、空を見上げたら三日月があった。
空は、繋がっている。
月も太陽も星も。
今日の天気予報は全国的に晴れだったと、朝の記憶を呼び戻す。
同じ、月を、見ればいい。
黒尾はメールを打った。
『空、見てみろよ』
離れていても、そばに、いたかった。
終わり
メールが届くより先に綺麗な満月を見ていた。
同じ、空を、見ていた。
黒尾は、特に意味のない写真を撮っては月島に送っていた。
野良猫、神社の鳥居、体育館の屋根。
ふと、目に付いたものを写して、メールを送信する。
返事があればいいなとは思う程度の、ことだった。
理由を聞かれることはきっとない。
月島のことだ。
本当に知りたかったら電話をした時かもしくは次に会った時に直接聞いてくるだろう。
それが、ない。
かわりに、同じような写真が送られてくるようになった。
柴犬、狛犬、校門の影。
言葉はひとつもないというのに、まるで、会話をしているようだ。
月島の見ているものを見ることができる。
月島が、何を思って写真を送ってるのかはわからないけれど、黒尾としては半分狙い通りだった。
遠く、離れている分、知らないことしかない。
知らないことを教えたかった。
自分が今、見ているものを月島にも見て欲しかった。
一緒にいない代わりに。
最初の写真を送った理由は、それだけだった。
ただの思い付きだった。
部活の休憩中、水呑場で顔を洗った。
銀色の水道の蛇口は、どの学校にもあるものだ。
でも、今、自分の見ている蛇口は、月島の、烏野高校にはないものだ。
そう思ったら、写真を撮っていた。
ほとんど返信の来ないメールに言葉を尽くしてもきっと伝わらない。
だから、視覚に訴えてみたらどうだろう。
一枚目。
反応がないのは、予想通りだ。
少しくらい、なんだこれはと思ってくれただろうか。
呆れた顔と溜息の音を想像したらなんだかおかしかった。
天気が良かった。
青空がきれいだった。
二枚目。
暑い日差しから逃れるように駆け込んだその大木は欅だった。
三枚目。
帰り道。
足元を見たら真っ黒な影が長く伸びていた。
四枚目。
ちゃんと、届いているのだろうか。
写真だけでなく、それ以上のものが。
待てど暮らせど返信はない。
(……期待はしてなかったけどな)
頑なな人を想って笑う。
他に思いつかなかったので、手のひらを撮ってみた。
五枚目。
送った写真を見て、何を思ったのか、聞いてみたい。
聞いたところで素直に答えてくれはしないだろうけれど。
次に会える日が待ち遠しいと思ったのは、初めてだった。
帰り道、空を見上げたら三日月があった。
空は、繋がっている。
月も太陽も星も。
今日の天気予報は全国的に晴れだったと、朝の記憶を呼び戻す。
同じ、月を、見ればいい。
黒尾はメールを打った。
『空、見てみろよ』
離れていても、そばに、いたかった。
終わり
バレーボールの写真が届いた。
もう駄目だなと思った。
聡い人は、いつだってこちらの意図を難なく読みとってしまう。
それが、故意でなくとも。
使い古された傷と汚れだらけのバレーボールは、きっと練習後に撮ったものなのだろう。
同じものであり、異なるものだ。
(共通しているのは、バレーボールだけだ)
どうして、僕が、ひまわりと教科書とバレーボールの写真を送ったのか、わかっていますか?
実際にその理由を問われたとしても答えはしない。
水道の蛇口、青空、欅の枝、足元の影、手のひら。
暗号のように届いた写真に答えがないのと同じだからだ。
ただ、勝手に、同じものをシンクロさせただけだ。
自分が。
自分の脳が。
視覚からの情報はダイレクトに脳へと伝達され、そのまま膨大な情報から、似て異なるものを瞬時に導き出す。
知らないふりをしていたい。
知らないままでいたい。
考えたくない。
そう思っていることをあなたは知らない。
(ほら、また……)
気がつけば黒尾のことばかり考えている。
その時間が日々増えていく。
(すぐに、会えない、ことに、耐えられない……かもしれない……)
経験の無いことを考えても仕方がない。
それでも。
声も熱も顔も。
まだ、覚えていることに安堵する。
携帯電話を手にして、何度も見たメールをまた確認する。
黄色の花の写真。
烏野高校の花壇にも同じ花が咲いているのを知っていた。
ガザニアという花だ。
黄色の鮮やかな花びらがひまわりのようだった。
次に届いた教科書の写真。
東京に限らず、学校が変われば教科書も変わる。
見たこともない表紙の柄に中身まで気になってしまう。
思いのほか雑に扱われている様子が見てわかった。
(きっと、机かロッカーに入れっぱなし……)
そうして、些細なことを想像し、苦笑する自分がいる。
認めたくなかった。
自分がそれを認めてしまったら、きっと、我慢できなくなるかもしれない。
溜息を一つ。
ヘッドホンから流れる好きな音楽に耳を傾け、ゆっくりと瞬きをした。
それから空を見上げた。
先日見た、細く欠けていた月が満ちている。
あの日から、何日も過ぎていた。
目まぐるしい日々の忙しさに、忘れられたらもっと楽になれただろうにと思わずにいられない。
一行だけ、メールを送る。
『空、見てますか?』
もう駄目だなと思った。
聡い人は、いつだってこちらの意図を難なく読みとってしまう。
それが、故意でなくとも。
使い古された傷と汚れだらけのバレーボールは、きっと練習後に撮ったものなのだろう。
同じものであり、異なるものだ。
(共通しているのは、バレーボールだけだ)
どうして、僕が、ひまわりと教科書とバレーボールの写真を送ったのか、わかっていますか?
実際にその理由を問われたとしても答えはしない。
水道の蛇口、青空、欅の枝、足元の影、手のひら。
暗号のように届いた写真に答えがないのと同じだからだ。
ただ、勝手に、同じものをシンクロさせただけだ。
自分が。
自分の脳が。
視覚からの情報はダイレクトに脳へと伝達され、そのまま膨大な情報から、似て異なるものを瞬時に導き出す。
知らないふりをしていたい。
知らないままでいたい。
考えたくない。
そう思っていることをあなたは知らない。
(ほら、また……)
気がつけば黒尾のことばかり考えている。
その時間が日々増えていく。
(すぐに、会えない、ことに、耐えられない……かもしれない……)
経験の無いことを考えても仕方がない。
それでも。
声も熱も顔も。
まだ、覚えていることに安堵する。
携帯電話を手にして、何度も見たメールをまた確認する。
黄色の花の写真。
烏野高校の花壇にも同じ花が咲いているのを知っていた。
ガザニアという花だ。
黄色の鮮やかな花びらがひまわりのようだった。
次に届いた教科書の写真。
東京に限らず、学校が変われば教科書も変わる。
見たこともない表紙の柄に中身まで気になってしまう。
思いのほか雑に扱われている様子が見てわかった。
(きっと、机かロッカーに入れっぱなし……)
そうして、些細なことを想像し、苦笑する自分がいる。
認めたくなかった。
自分がそれを認めてしまったら、きっと、我慢できなくなるかもしれない。
溜息を一つ。
ヘッドホンから流れる好きな音楽に耳を傾け、ゆっくりと瞬きをした。
それから空を見上げた。
先日見た、細く欠けていた月が満ちている。
あの日から、何日も過ぎていた。
目まぐるしい日々の忙しさに、忘れられたらもっと楽になれただろうにと思わずにいられない。
一行だけ、メールを送る。
『空、見てますか?』
ひまわり、教科書、バレーボール。
間違いか、はたまた他の意図があってことか。
月島から写メが届く。
文面はなく、ただ写真だけが添付されている。
自分がそれをしたときは、頑なに返信を寄越さなかったくせに、なんなのだろう。
写真のどこかに答えは隠されていないかと、注意深く見てはみるものの、きっとなにもない。
この写真はなんだ?と問うのは簡単だった。
ただ、答えは返ってこないだろう。
結局、その問いかけすらも宙ぶらりんに浮かんで、消えずに残る。
(元気そうで良かった)
便りがないのは元気な証拠というけれど、この現代社会でメールの返信ひとつないのは、どうかと思う。
天邪鬼気味であることはわかっているが、それでも、返事が欲しい時だってあるのだ。
一方通行はつまらない。
ひまわりの写真を眺めて、それから、校内でひまわりを探そうと裏庭から校庭から、昼休みを潰して歩き回った。
さすがにひまわりは見つからなかったが、かわりに花壇に咲く黄色の小さな花を見つけた。
花の名前はわからなかったが、ひまわりみたいな鮮やかな黄色がきれいだと思った。
その花を携帯電話で撮って、そのまま月島にメールを送る。
ちょうど、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った。
放課後、教科書を机に片付けている時に、ふと思い出して、写真を撮る。
届いた教科書は数Ⅰだったのを懐かしく思ったのだが、現実は厳しい。
教師の言葉が時々呪文のように聞こえるから、振り落とされないようにしなければならない。
春高を目指すと最初から決めていたが、その想いが強くなったのは、GWの遠征を終えた後だ。
いままで、伝承のようなものだったゴミ捨て場の決戦がいきなり現実になった。
自分にとっては最初で最後のチャンスを逃したくなかった。
もっともそこで得られたものは、それだけじゃなかったのだけれど。
猫と呼ばれる自分たちよりも余程猫っぽい。
なかなか懐かないが、手を伸ばせば距離をはかりつつ、近寄ってくる。
学校の敷地に住み着いている野良猫そのものだ。
(近ければもっと別の方法もあるんだろうけど)
東京と宮城。
距離は約350km。
もっと離れているに違いない。
ただでさえ、遠く離れているというのに、メールのやりとりすらままならないのだから、野良猫以上に厄介だった。
それでも。
なんとなく思いついて送った写真攻撃は、功を奏したらしい。
返信があるだけありがたいと思ってしまうのだから、どうにも本気になりつつあるようだ。
気が付けば、こうして月島のことばかり考えてしまう時点で相当のめり込んでいるのは間違いない。
冷静に自己分析しつつ、黒尾は部室に向かった。
練習の終わり。
思い出したように黒尾はバレーボールの写真を撮った。
きっと、これが正解なのだろう。
帰り道、その写真をメールで送って、空を見上げた。
先日まで細く欠けていた月は、いつの間にかまんまるになっていた。
きっと、同じ空を見ている。
離れていても、それがわかるだけで、嬉しかった。
間違いか、はたまた他の意図があってことか。
月島から写メが届く。
文面はなく、ただ写真だけが添付されている。
自分がそれをしたときは、頑なに返信を寄越さなかったくせに、なんなのだろう。
写真のどこかに答えは隠されていないかと、注意深く見てはみるものの、きっとなにもない。
この写真はなんだ?と問うのは簡単だった。
ただ、答えは返ってこないだろう。
結局、その問いかけすらも宙ぶらりんに浮かんで、消えずに残る。
(元気そうで良かった)
便りがないのは元気な証拠というけれど、この現代社会でメールの返信ひとつないのは、どうかと思う。
天邪鬼気味であることはわかっているが、それでも、返事が欲しい時だってあるのだ。
一方通行はつまらない。
ひまわりの写真を眺めて、それから、校内でひまわりを探そうと裏庭から校庭から、昼休みを潰して歩き回った。
さすがにひまわりは見つからなかったが、かわりに花壇に咲く黄色の小さな花を見つけた。
花の名前はわからなかったが、ひまわりみたいな鮮やかな黄色がきれいだと思った。
その花を携帯電話で撮って、そのまま月島にメールを送る。
ちょうど、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った。
放課後、教科書を机に片付けている時に、ふと思い出して、写真を撮る。
届いた教科書は数Ⅰだったのを懐かしく思ったのだが、現実は厳しい。
教師の言葉が時々呪文のように聞こえるから、振り落とされないようにしなければならない。
春高を目指すと最初から決めていたが、その想いが強くなったのは、GWの遠征を終えた後だ。
いままで、伝承のようなものだったゴミ捨て場の決戦がいきなり現実になった。
自分にとっては最初で最後のチャンスを逃したくなかった。
もっともそこで得られたものは、それだけじゃなかったのだけれど。
猫と呼ばれる自分たちよりも余程猫っぽい。
なかなか懐かないが、手を伸ばせば距離をはかりつつ、近寄ってくる。
学校の敷地に住み着いている野良猫そのものだ。
(近ければもっと別の方法もあるんだろうけど)
東京と宮城。
距離は約350km。
もっと離れているに違いない。
ただでさえ、遠く離れているというのに、メールのやりとりすらままならないのだから、野良猫以上に厄介だった。
それでも。
なんとなく思いついて送った写真攻撃は、功を奏したらしい。
返信があるだけありがたいと思ってしまうのだから、どうにも本気になりつつあるようだ。
気が付けば、こうして月島のことばかり考えてしまう時点で相当のめり込んでいるのは間違いない。
冷静に自己分析しつつ、黒尾は部室に向かった。
練習の終わり。
思い出したように黒尾はバレーボールの写真を撮った。
きっと、これが正解なのだろう。
帰り道、その写真をメールで送って、空を見上げた。
先日まで細く欠けていた月は、いつの間にかまんまるになっていた。
きっと、同じ空を見ている。
離れていても、それがわかるだけで、嬉しかった。
時々、写真が届く。
水道の蛇口。青空。欅の枝。足元の影。手のひら。
最近、黒尾からよくわからないものが、ぽつ、ぽつ、と届く。
東京と宮城。
距離は約350km。
決して、近くはない。
その距離を超えて、写真が届く。
メールアドレスを交換したのは失敗したかなと思うのは、水道の蛇口を見た時にその写真を思い出したからだ。
(ああ、侵食されている)
脳が。
じわじわと、意識させられていく。
青空を見上げて、空の色が違うと思った。
(ほら、また……)
意地でも返信をしないと決めていた。
きっとそれも狙っているのかもしれない。
相手に、なんの意図がなかったとしても、それでも、写真が届くという事実は変わらないのだ。
帰り道、生い茂る欅の木の下を通る。
風に揺れる枝がさわさわと葉擦れの音をたてた。
夜になっても暑さが続く。
額から汗が一筋、零れ落ちた。
外灯の下、足元の影がゆらりと伸びていく。
『ツッキーは細いから影も細いな』
笑う声が耳元で響いた。
(……うるさい)
ヘッドホンで遮断しようにも、その声は内側から聞こえる。
どれもこれも、きっとこの手のひらだって、全部。
脳に記憶された写真が重なった。
無骨な、けれど、鍛えられた手のひら。
身長は同じくらいだというのに、厚みが違う。
握られた熱まで思い出しそうで、自分の手のひらから目を逸らす。
もう、どこを見ても全部、それだ。
(いやだ……な)
じわり、じわりと、少しずつ、少しずつ。
知りたくない感情がやってくる。
そうして、また、携帯電話がメールの着信を伝えた。
見たくないと思いつつ、それでもポケットから取り出した。
『空、見てみろよ』
写真の添付はなかった。
ただ、それだけが、一行。
指示されるままに空を見上げてしまったことを、これほど後悔したことはない。
(ばか、しね……)
息苦しさがぎゅうぎゅうと胸を締め付ける。
震える手を隠して、その場にしゃがみこんだ。
群青色から紺色へと変わる空のその境目に、三日月。
同じ、ものを、見ていた。
水道の蛇口。青空。欅の枝。足元の影。手のひら。
最近、黒尾からよくわからないものが、ぽつ、ぽつ、と届く。
東京と宮城。
距離は約350km。
決して、近くはない。
その距離を超えて、写真が届く。
メールアドレスを交換したのは失敗したかなと思うのは、水道の蛇口を見た時にその写真を思い出したからだ。
(ああ、侵食されている)
脳が。
じわじわと、意識させられていく。
青空を見上げて、空の色が違うと思った。
(ほら、また……)
意地でも返信をしないと決めていた。
きっとそれも狙っているのかもしれない。
相手に、なんの意図がなかったとしても、それでも、写真が届くという事実は変わらないのだ。
帰り道、生い茂る欅の木の下を通る。
風に揺れる枝がさわさわと葉擦れの音をたてた。
夜になっても暑さが続く。
額から汗が一筋、零れ落ちた。
外灯の下、足元の影がゆらりと伸びていく。
『ツッキーは細いから影も細いな』
笑う声が耳元で響いた。
(……うるさい)
ヘッドホンで遮断しようにも、その声は内側から聞こえる。
どれもこれも、きっとこの手のひらだって、全部。
脳に記憶された写真が重なった。
無骨な、けれど、鍛えられた手のひら。
身長は同じくらいだというのに、厚みが違う。
握られた熱まで思い出しそうで、自分の手のひらから目を逸らす。
もう、どこを見ても全部、それだ。
(いやだ……な)
じわり、じわりと、少しずつ、少しずつ。
知りたくない感情がやってくる。
そうして、また、携帯電話がメールの着信を伝えた。
見たくないと思いつつ、それでもポケットから取り出した。
『空、見てみろよ』
写真の添付はなかった。
ただ、それだけが、一行。
指示されるままに空を見上げてしまったことを、これほど後悔したことはない。
(ばか、しね……)
息苦しさがぎゅうぎゅうと胸を締め付ける。
震える手を隠して、その場にしゃがみこんだ。
群青色から紺色へと変わる空のその境目に、三日月。
同じ、ものを、見ていた。
「言葉遊び」とは、こちら→https://twitter.com/x_ioroi/status/489592700828524544の「文字書きの為の言葉のパレット」の言葉を使って書いた短編となります。
私は、3つの単語を短編の中に違和感のないように含むようにして考えています。
基本的には、いちゃいちゃ、らぶらぶ、ほのぼのな、クロ月です。
年齢設定をいじっていたりするので、高校生だったり、大学生だったり、同棲してたり、してます。
私は、3つの単語を短編の中に違和感のないように含むようにして考えています。
基本的には、いちゃいちゃ、らぶらぶ、ほのぼのな、クロ月です。
年齢設定をいじっていたりするので、高校生だったり、大学生だったり、同棲してたり、してます。
「愛」「嘘」「指先」
熱を持った指先を舌で触れ、そっと舐めればほんの少しだけ震える。
平気な顔でそれを見ている人の動揺に満足をして、さらに指先を咥え吸うように唇を尖らせた。
再びひくりと震える。
敏感な指先は、骨ばっているけれど、厚い皮膚で覆われて硬くなっていた。
バレーボールをする人の指だ。
舐めたところで味などしない。
ただ、ちょっとだけ、困らせてみたかった。
「喜んだだけだろ」
唾液で濡れた指先をちゅっと自分でキスをしてそれからテッシュでふき取った。
「どうした?」
形だけの問いに答える理由もない。
ソファに座る人の固い膝に頭をのせて、目を閉じた。
「ツッキー?」
世の中には嘘ばかりだ。
騙されないように注意深く意識をしてもそれは巧妙に隠され、見抜くことができない。
今日もまたひとつ、信じようとしたものが消えた。
まだ、傷は浅い。
ふわりと後頭部に指先が触れる感覚があった。
少しくすぐったくて、肩を竦める。
心配されるのが、嬉しい。
それを悪いとも思わないから、安心ができる。
言わないけれど、ちゃんと、そこに愛はあると、思う。
たぶん。
自信がないのは、不確かな感情を形にできないからだ。
見えないものを信じるのは難しい。
それは、嘘も同じだ。
見えないから、疑う。
嘘も愛も紙一重。
信じられるとしたら、触れ合って、その熱を確かめられる指先だけだ。
「黒尾さん」
呼ぶ。
それだけで、黒く染まった心が少しだけ浄化されるようだった。
返事のかわりに額に触れる唇の感触。
わがままも甘えも全部許してくれる、酷い人。
だから、きっと、信じられるのかもしれない。
指先の熱がとけあって同じになればいいのにと、思った。
終わり
熱を持った指先を舌で触れ、そっと舐めればほんの少しだけ震える。
平気な顔でそれを見ている人の動揺に満足をして、さらに指先を咥え吸うように唇を尖らせた。
再びひくりと震える。
敏感な指先は、骨ばっているけれど、厚い皮膚で覆われて硬くなっていた。
バレーボールをする人の指だ。
舐めたところで味などしない。
ただ、ちょっとだけ、困らせてみたかった。
「喜んだだけだろ」
唾液で濡れた指先をちゅっと自分でキスをしてそれからテッシュでふき取った。
「どうした?」
形だけの問いに答える理由もない。
ソファに座る人の固い膝に頭をのせて、目を閉じた。
「ツッキー?」
世の中には嘘ばかりだ。
騙されないように注意深く意識をしてもそれは巧妙に隠され、見抜くことができない。
今日もまたひとつ、信じようとしたものが消えた。
まだ、傷は浅い。
ふわりと後頭部に指先が触れる感覚があった。
少しくすぐったくて、肩を竦める。
心配されるのが、嬉しい。
それを悪いとも思わないから、安心ができる。
言わないけれど、ちゃんと、そこに愛はあると、思う。
たぶん。
自信がないのは、不確かな感情を形にできないからだ。
見えないものを信じるのは難しい。
それは、嘘も同じだ。
見えないから、疑う。
嘘も愛も紙一重。
信じられるとしたら、触れ合って、その熱を確かめられる指先だけだ。
「黒尾さん」
呼ぶ。
それだけで、黒く染まった心が少しだけ浄化されるようだった。
返事のかわりに額に触れる唇の感触。
わがままも甘えも全部許してくれる、酷い人。
だから、きっと、信じられるのかもしれない。
指先の熱がとけあって同じになればいいのにと、思った。
終わり
「横顔」「防波堤」「夕焼け」
海が見たいと言ったから、二人で出かけた。
遠くに行けそうもなかったので、一番近い海へと向かう。
電車に揺られ、数十分。
乗換えを二回繰り返して、到着した頃には陽が沈む時刻だった。
それでも、生臭い潮の匂いは、波音と合わせて、日常から突然切り離す。
防波堤を歩けば、釣り人が釣竿を持ったまま海と向かい合っている。
「釣り、したことある?」
電車に乗っていたときもこうして海に辿り着いたあとも口数の少ない月島に黒尾は訊いた。
「あります」
子供の頃に、父親に連れられて、よく海に行きました。
釣り人の背中に少しだけ目を細める。
知らないことだらけだと思った。
それもそうだ。
まだ出会って3年も過ぎていない。
人間に合わせれば、よちよち歩き始めたばかりなのだ。
知らないことしかない。
そうであれば、これから知っていけばいい。
波の音、潮風、そして、沈む太陽。
夕焼けで赤く染まった雲が空を彩った。
世界が、海が、オレンジ色に変わる。
コンクリートの防波堤に波が当たって砕け散った。
穏やかな風。
立ち止まってみれば、その横顔も美しい夕焼け色に染まっていた。
「黒尾さん」
「んー?」
「黒尾さんってバカですよね」
「なに?こんなとこまできてケンカ売るつもり?」
「だって、僕の、たった一言で、こんなところまで来るんですよ?」
「あー、それはしかたないだろ?ツッキーバカだもん」
「もん…って、気持ち悪いです」
「うるせーよ」
「そんなツッキーバカの俺に誘われて、こんなところまで一緒にやってくるツッキーも相当バカだろ」
すぐ側にある頭をわしわしと片手で撫でて、笑う。
「バカとバカ。お似合いだろ」
「……一緒にされたくないですが、否定できませんね」
月島はそう言って笑った。
黒尾も一緒になって笑う。
普段、空を切り取るような建物の隙間で暮らしているからか、なにもない水平線が美しくも頼りなく感じる。
いつの間にか海へと沈む太陽が半分になっていた。
同じ速さで動いているはずだと言うのに、沈むときは空の上よりずっと速く見えた。
「ほら、ツッキー発見」
太陽とは反対の方向、夕焼け色と夜の色の境目に三日月が見えた。
「僕はここにいますけど」
「俺はこっちのツッキーが好き」
その手をぎゅっと繋いで、黒尾が振り返ると赤く染まった月島がそこにいた。
「照れた?嬉しい?」
「照れてません」
「顔赤いし」
「夕焼けのせいデショ」
素直じゃない人はそうと言い張って、ぷいっと顔を逸らした。
その横顔に黒尾はちゅっとキスをした。
終わり
海が見たいと言ったから、二人で出かけた。
遠くに行けそうもなかったので、一番近い海へと向かう。
電車に揺られ、数十分。
乗換えを二回繰り返して、到着した頃には陽が沈む時刻だった。
それでも、生臭い潮の匂いは、波音と合わせて、日常から突然切り離す。
防波堤を歩けば、釣り人が釣竿を持ったまま海と向かい合っている。
「釣り、したことある?」
電車に乗っていたときもこうして海に辿り着いたあとも口数の少ない月島に黒尾は訊いた。
「あります」
子供の頃に、父親に連れられて、よく海に行きました。
釣り人の背中に少しだけ目を細める。
知らないことだらけだと思った。
それもそうだ。
まだ出会って3年も過ぎていない。
人間に合わせれば、よちよち歩き始めたばかりなのだ。
知らないことしかない。
そうであれば、これから知っていけばいい。
波の音、潮風、そして、沈む太陽。
夕焼けで赤く染まった雲が空を彩った。
世界が、海が、オレンジ色に変わる。
コンクリートの防波堤に波が当たって砕け散った。
穏やかな風。
立ち止まってみれば、その横顔も美しい夕焼け色に染まっていた。
「黒尾さん」
「んー?」
「黒尾さんってバカですよね」
「なに?こんなとこまできてケンカ売るつもり?」
「だって、僕の、たった一言で、こんなところまで来るんですよ?」
「あー、それはしかたないだろ?ツッキーバカだもん」
「もん…って、気持ち悪いです」
「うるせーよ」
「そんなツッキーバカの俺に誘われて、こんなところまで一緒にやってくるツッキーも相当バカだろ」
すぐ側にある頭をわしわしと片手で撫でて、笑う。
「バカとバカ。お似合いだろ」
「……一緒にされたくないですが、否定できませんね」
月島はそう言って笑った。
黒尾も一緒になって笑う。
普段、空を切り取るような建物の隙間で暮らしているからか、なにもない水平線が美しくも頼りなく感じる。
いつの間にか海へと沈む太陽が半分になっていた。
同じ速さで動いているはずだと言うのに、沈むときは空の上よりずっと速く見えた。
「ほら、ツッキー発見」
太陽とは反対の方向、夕焼け色と夜の色の境目に三日月が見えた。
「僕はここにいますけど」
「俺はこっちのツッキーが好き」
その手をぎゅっと繋いで、黒尾が振り返ると赤く染まった月島がそこにいた。
「照れた?嬉しい?」
「照れてません」
「顔赤いし」
「夕焼けのせいデショ」
素直じゃない人はそうと言い張って、ぷいっと顔を逸らした。
その横顔に黒尾はちゅっとキスをした。
終わり
「面倒事」「繋ぐ」「色」
それは、予兆だったのかもしれない。
雲ひとつない秋晴れの空。
色鮮やかな空色は広く高く澄み渡っていた。
携帯電話を天に向け、写真を撮った。
画面いっぱいの水色。
まるで、絵具で塗ったようだった。
メールに添付をして、送信。
今は、たった一瞬で、切り取った空の一部が遠く離れた地に届く。
便利だと言えばいいのか、不便だと言えばいいのか。
夏の暑い日。
空を見上げる余裕もなかった日々。
濃い影を落とす樹木の下で、セミの声を聞きながら、時が過ぎるのを待っていた。
会話をするのも億劫で、声を出せば体力が減るように思えた。
セミの声だけをやけに覚えている。
記憶は、面倒事まで引き起こし、脳内を巡る。
忘れていたわけではないけれど、意識をしないように意識していた。
それなのに、次々と夏のイメージが溢れてくる。
夏とは異なる秋の空。
(面倒くさい)
自分の感情が、酷く邪魔に思える。
(会いたい、会いたくない、会いたい、会いたくない……)
声が、響いて、厄介きわまりない。
空にもう一度携帯電話を向ければ、青空を真っ二つに切り裂くような、白い白い線が引かれていた。
どこへ向かう飛行機だろうか。
その線は、遠い空まで繋ぐだろうか。
しばらくして、メールの着信音が鳴った。
確認をすれば、タイトルも本文もない。
添付されているファイルを開けば、青空と飛行機雲の画像があった。
抑えきれない衝動という面倒事をもたらした空色は、遠く恋しい人と繋がっていた。
終わり
それは、予兆だったのかもしれない。
雲ひとつない秋晴れの空。
色鮮やかな空色は広く高く澄み渡っていた。
携帯電話を天に向け、写真を撮った。
画面いっぱいの水色。
まるで、絵具で塗ったようだった。
メールに添付をして、送信。
今は、たった一瞬で、切り取った空の一部が遠く離れた地に届く。
便利だと言えばいいのか、不便だと言えばいいのか。
夏の暑い日。
空を見上げる余裕もなかった日々。
濃い影を落とす樹木の下で、セミの声を聞きながら、時が過ぎるのを待っていた。
会話をするのも億劫で、声を出せば体力が減るように思えた。
セミの声だけをやけに覚えている。
記憶は、面倒事まで引き起こし、脳内を巡る。
忘れていたわけではないけれど、意識をしないように意識していた。
それなのに、次々と夏のイメージが溢れてくる。
夏とは異なる秋の空。
(面倒くさい)
自分の感情が、酷く邪魔に思える。
(会いたい、会いたくない、会いたい、会いたくない……)
声が、響いて、厄介きわまりない。
空にもう一度携帯電話を向ければ、青空を真っ二つに切り裂くような、白い白い線が引かれていた。
どこへ向かう飛行機だろうか。
その線は、遠い空まで繋ぐだろうか。
しばらくして、メールの着信音が鳴った。
確認をすれば、タイトルも本文もない。
添付されているファイルを開けば、青空と飛行機雲の画像があった。
抑えきれない衝動という面倒事をもたらした空色は、遠く恋しい人と繋がっていた。
終わり
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